解像処理の手順

20110515-1.jpg
K-5 DA★300mmF4 [ F5.6 1/1500 ISO560 ]
解像処理の記事でリクエストがありましたので、手順を解説してみます (^^
ただのアンシャープマスクなのですが、そのかけ方にポイントがあります。
これから解説する方法が唯一の方法ではありませんので、色々研究してみて下さい。
シャープネス処理も奧が深く、試行錯誤を繰り返しました。
様々な方法を試した結果、現在はこの方法で処理しております。
あくまでも私なりの方法ですが、画像処理のとっかかりになればいいな (^^
扉の写真は遠くから狙って撮ったイソヒヨちゃん。
思いっきりトリミングして解像処理&クリーニング処理した画です。
甘い描写でノイズが乗っている写真をサンプルとしましたが、等倍切り出しに近い画質には
見えないですよね? (^^
今回はスクリーンショットを沢山貼りますので、以降の画はクリックしても大きくなりません。
文字が見づらいと思いますので、zipにまとめたファイルを用意しました。
手順が再現できるよう、RAWファイルも同梱してあります。
Sampleのダウンロード

[ 等倍切り出し ]
20110515-2.jpg
[ 扉画の切り抜き ]
20110515-1b.jpg
まずはRAWから抜き出したプレビュー用JPEGの等倍画像と扉画のとの違いをご覧下さい。
プレビュー用画像なので圧縮率が高く、モスキートノイズが出ておりますが、処理後との違いが
お分かりになると思います。

[ 全景 ]
20110515-3.jpg
これが全景です。
この様な状況&状態の写真を「扉画の切り抜き」レベルの画にしてみます。
処理は全て100%表示(等倍表示)で細部をチェックしながら実行して下さい。
良い仕上げをするには 100%表示で現像やレタッチしないとダメです。
トーンや露出の調整など、必要な時だけ全体表示に切り替える感じです。
ちょっと横道にそれますがw
様々な現像ソフトを試しましたが、解像感良く仕上げるのに最強だと思う組み合わせは
Adobe Camera Rawで現像し、フォトショで仕上げをするというパターンです。
逆にトーンが大事な写真は SILKYPIXが最強。
私の場合、BMや夕景の大事なトーンは Camera Rawには任せられません (^^
両ソフトではデモザイク処理の段階で違いがあるようで、細部の解像度に差があります。
鳥の羽毛を解像させるには Camera Rawが良いですね。
現像ソフトによって得手不得手があるので、撮影した状況&写真の状態、何を重視した仕上げとするのかを
天秤にかけて現像するソフトを選択しております。
ちなみにJPEG撮って出しからこの様な処理をしてもイマイチの仕上がりになります。
JPEG撮って出しの方でこの様な処理がしたいのであれば RAW撮りに移行しましょ (^^
今回は SILKYPIXで現像し、フォトショで仕上げる流れで解説しております。
レイヤー、フェードしているブラシ、クイックマスク(マスク)、アンシャープマスク
これらの機能が使えるレタッチソフトがあれば同じ様に仕上げられます。
フリーのレタッチソフト GIMPでも可能だと思います。
※最新のフォトショが無くても処理できる事をアピールするため、今回は Photoshop6 で処理してますw
閑話休題、それでは解説します。
ほとんどは画像中にコメントを埋め込んでいますので、先ほど記述したzipファイルを
ダウンロードしてご覧になった方が良いと思います。

[ SILKYPIXへ読み込んだ ] - Lesson-01
20110515-L01.jpg

[ 最終仕上げサイズよりちょっと大きめにトリミング ] - Lesson-02
20110515-L02.jpg
これは任意です。
トリミングせずに一部だけシャープネス処理をしたい場合はこの処理をスキップして下さい。

[ 原画レベルでのシャープネス処理 ] - Lesson-03
20110515-L03.jpg
これはアンシャープマスクとは違います。
アンシャープマスクは仕上げの最後に適用すべきもので、ここで指定するシャープは
原画レベルでのシャープネスを調整する処理です。
ここで指定するシャープと、現像時に指定するアンシャープマスクの違いについては
SILKYPIXのヘルプへ詳しく書かれています。

[ 現像時の指定 ] - Lesson-04
20110515-L04.jpg
可能であれば 16bit TIFFが望ましいです。

[ 現像直後のJPEG画像 ] - Lesson-05
20110515-L05.jpg

[ NR処理した画像 ] - Lesson-06
20110515-L06.jpg
現像直後の画をコピーし、NR処理しました。
Neat Image Demo Editionだとフリーで使えます。 )
この画と原画をレイヤーで重ねます。
フォトショのプラグイン等でNR処理するのであれば、現像直後の画を読み込んで別レイヤーへコピーし、
そのレイヤーへNR処理して下さい。

[ 両方のレイヤーのいいとこ取りをします ] - Lesson-07
20110515-L07.jpg
NR処理して失われた鳥の解像感を取り戻すために消しゴムでゴシゴシです (^^

[ 消し残しが無いかチェック中 ] - Lesson-08
20110515-L08.jpg
ここまで処理したレイヤーを結合して次のステップへ。

[ クイックマスクで選択範囲をつくる ] - Lesson-09
20110515-L09.jpg
私はオプションを変更しており、塗ったところが選択されるようにしています。
デフォルトは逆の動きなので、クイックマスクのアイコンをダブルクリックして変更してあります。
ちなみにデフォルト状態でも前景色と背景色を逆にすれば逆の動きになります。
ブラシの種類は必ず縁がぼやけているブラシを使って塗って下さい。

[ 塗った後クイックマスクから抜けた状態 ] - Lesson-10
20110515-L10.jpg
イソヒヨだけ選択された状態になります。 (塗ったところだけが選択される)
その選択範囲だけ別レイヤーへコピーします。
ショートカットは Ctrl + J です。

[ アンシャープマスク処理 ] - Lesson-11
20110515-L11.jpg
先ほどイソヒヨだけ選択して別レイヤーにしたのは、イソヒヨだけにアンシャープマスクをかけるためです。
こうすることで背景のノイズが増えることはありません。
Lesson-09で縁がぼやけているブラシを使ったのはアンシャープマスクがかかっている部分とかかっていない部分に
違和感を生じさせないためです。
自然に減衰して背景と馴染むので、必ず縁がぼやけているブラシを使って塗って下さい。
ここでの処理ではちょっと強いかな? と思うぐらいかけて下さい。
パラメータは原画のボケ具合で調整値が変わります。
試行錯誤して下さい。
アンシャープマスクの扱いに慣れてくると、画の状態を見ただけでだいたいのパラメータが
頭に浮かんで来るようになります。
何度もやっているうちに勘どころが養われますので、この様な処理を続ける事が大事です。
適用量、半径、しきい値などの意味について、いつか記事にしようかな (^^

[ 不透明度の調整 ] - Lesson-12
20110515-L12.jpg
原画とアンシャープマスク処理した画をブレンドします。
アンシャープマスク処理したレイヤーの不透明度を変えることで、効果の強弱が調整出来ます。
この様なレイヤーを使用した処理と不透明度の調整は、フォトショで画像処理するときの基本です。
NR処理、シャープネス処理等はこの方法で調整するようにして下さい。
原画を直接処理すると後戻り出来ませんし、効果の強弱も調整出来ません。
※フォトショのバージョンによっては調整レイヤーが使えますので、更に便利です。

[ 1024pxへリサイズ ] - Lesson-13
20110515-L13.jpg
調整が終わったらターゲットとして設定した 1024pxへリサイズします。
リサイズするのは画を締めて解像感を上げるためと、ノイズを目立たなくするためです。
図柄によっては縮小するとシャープネスが少々失われる場合があります。
必要であれば Lesson-09 ~ 12 の手順を繰り返してもう一度アンシャープマスク処理をします。
仕上げのアンシャープマスク処理なのでパラメータを弱めしてかけ、不透明度を調整すること。
思うとおりの解像感になったら全レイヤーを結合し、必要であればトーンやコントラスト等を整えて終了です。
※例外はありますが、本来トーン調整等は最初にすべき物でシャープネス処理は後掛けが基本です。
 今回の場合NR済みのファイルを重ねる処理をしたため、シャープネス処理を先にしています。
 フォトショのプラグインでNR処理出来るのであれば、先にトーン調整等は済ませましょう。
JPEGへ保存し、中間ファイルのTIFFは削除です。
80MB以上もあるので、保管できませんw

[ トーンを整える ] - Lesson-14
20110515-L14.jpg
これで完成です。
手順の写真は効果が分かり易いように、大げさに調整してあります。
扉の画とだいぶ違いますよね (^^
こんなガビガビに仕上げると美しいとは言えないので、扉の画程度で良いと思います。
違和感無く見られる様、自然な仕上がりを意識して下さい (^^
扉の画ですが、背景のノイズがNRソフトではイマイチ綺麗にならなかったので、
背景だけを選択して軽くボカシ処理をしました。
ノイズが消えてスッキリです。
ということで、まずまず見られる画になったと思います (^^
いかがでしたでしょうか。
複雑で手間がかかると思われるかもしれませんが、慣れると数分で終わる程度の作業です。
必要であれば風景の写真にもこの処理をしております。
空のノイズを消して、木々や茂った葉の解像感を上げるために (^^

14 thoughts on “解像処理の手順

  1. 待ってました~♪
    レイヤと抜き出し処理でピンと来ましたが
    大体思ってた処理でした^^
    以前自分も試しましたが、なるほど、
    輪郭をぼかすように処理してしまえば手間が短縮できそうですね。
    自分のように極端にやるとこうなります
    http://magtaro92.blog52.fc2.com/blog-entry-123.html
    ただこのときは細かく毛をマスキングしたので、
    めちゃ時間かかって萎てました 笑

  2. まぐかっぷさん、こんばんは。
    レイヤーに抜き出して処理するのは画像処理の基本なので、すぐに分かりましたね (^^
    ご想像通りの処理ですが、ポイントは輪郭が曖昧になるブラシを使う事です。
    ざっくり選択できるので時間がかかりませんし、背景と馴染むのも自然ですので (^^
    リンク先拝見しました~
    あの毛のマスキングは辛いw
    私だと途中で投げ出していますwww

  3. こんばんは
    講義、ありがとうございます(__)
    前処理としてのトリミング後のシルキーでの処理は想定外でした(^▽^;)
    そして後処理。
    鳥だけをマスクレイヤーで取り出してアンシャープマスク、鳥以外はNR処理かなと思っていたのですが、微妙に違っていましたね。
    一度、自分の想像していた処理と、delphianさんの処理を同じ画でやってみて違いを比べてみようかな(^▽^;)

  4. おはよう御座います(^^
    長編記事、有難う御座います!
    早速、DLさせて頂きましたので、時間見付けて、会社PCのフォトショ6で
    やってみようと思います(^^
    フォトショもいつか。。。と思いつつ、やはりその必要性を
    十二分に感じておりました。
    作品作りでは、どうしても欠かせないソフトですよね(^^
    次のレンズ買ったら、フォトショ貯金します♪

  5. shang!さん、こんにちは。
    前処理でシャープを調整するのは ACRでも同じです。
    デフォルトは 25ですが、解像させたいときは 35ぐらいまで上げてフォトショへ渡してますよ。
    ノイズは後で取る前提で、羽毛を解像させるのを優先です (^^
    shang!さんが考えている処理でもやってみて下さい。
    シャープネス処理は色々な方法があるので、沢山試した方が良いです。
    私ももっと効果的な方法を模索していますよ (^^

  6. bluemさん、こんにちは。
    私の場合、写真の仕上げにフォトショは欠かせませんです (^^
    この様な細かい処理は現像ソフトでは出来ませんので、やはりフォトショは必須ですね~
    レンズの次はフォトショ、いいと思います~
    良いレンズ&カメラを買うのと同等の効果が得られまする~ (^^

  7. こんにちは。
    詳細な手順を紹介していただいて有難うございます。
    キャプチャ画像の作成、手間がかかったことと思います。
    主役被写体の解像感を上げるとともに、背景をぼかしたりNR処理を背景だけにかけるという方法を併用すると効果的なんですね。
    参考になりますぅ!
    オマケにPS6での実例なんて涙が出そうです(^^;
    昨日は兄貴の記事を読んだ後にフィルターを外して夕陽を撮りに行ってきました(^^

  8. Jerryさん、こんにちは。
    わははっ このレタッチは3分程度で終わるのに、記事を書くのに時間がかかりました (^^
    画像処理のポイントはレイヤーに分けて処理です。
    試行錯誤もしやすいですし、仕上がりも自然にしやすいです。
    PS6はJerryさんとbluemさんを意識したんですよ (^^
    古いソフトでもこの程度のレタッチなら問題無いですね。
    おお~ フィルター外し!
    是非継続を (^^

  9. Photoshopは昔に比べたら安くなりましたよね。
    それでも同じ値段でレンズもそこそこのが買えるとなると。
    気軽にというわけには行きませんが(^^;
    しかも実際使う機能はごく限られていて、
    にもかかわらず他のツールで代替が利かない事が多い
    (機能の有無だけでなく使い勝手の面でも)
    という非常に困ったアプリケーションですw
    まぁ、プロと同じツールと考えればある意味破格ではありますが…
    ともかく記事を参考に色々やってみます。
    講義お疲れ様でした&ありがとうございました。

  10. ask-evoさん、こんばんは。
    フォトショ、いろんな意味で他のソフトでの代替は難しいですね (^^
    やっぱり高価なだけあるな~ って感じます。
    機能を切り売りしてくれないかなw
    ベース 10000万円、後は必要な機能を 1000円/機能 で追加w

  11. うわーーー。
    目から鱗でした。
    PhotoshopCSもある上、SILKYPIXも持っているくせに
    Silkypixで適当にシャープネスとNRかけていただけでした。
    にしても、今までいまいちと思っていた写真も
    これなら良い感じに有りますよね。
    試してみたいと思います。
    ありがとうございました。

  12. sorelaxさん、こんばんは。
    むははっ 両方持っているのなら最強の環境でしょう (^^
    鳥だけに限れば CSだけで完結した方がより解像します。
    ACRの細部解像度(デモザイク処理)とNRは優秀ですよ。
    シルキーだと羽毛がどうしてもべったりしてしまいます。
    こういう処理をすると捨てようか迷う画が生き返りますね (^^

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